エノモト マサオ
榎本 雅穗
所属 京都女子大学 家政学部 生活造形学科
職種 教授
研究期間 2023/04/01 ~ 2024/03/31
研究課題 液流揉み加工によってしぼ付け可能なポリウレタン樹脂組成と合成皮革における構成
実施形態 学内特定研究
採択フラグ 採択
研究種目名 令和5年度 研究経費助成(特別推進研究)
代表分担区分 研究代表者
代表者 榎本雅穗
概要 本研究の目的は,我々の身の回りにおけるファッションやインテリア素材に使用されている天然皮革において,我々が商品の特徴として求める自然なしぼ形状を,人工皮革,合成皮革などにおいても機械加工によって形成させ,さらに一度形成したしぼ形状を経時で安定したものとすることである.
 一般的に,天然皮革代替材料としての人工皮革,合成皮革,塩化ビニル(PVC)レザー等では,その多くが一定パターンのしぼ形状を有した離型紙もしくはエンボスロールを使用して製造される.従って,これらの基材を変更することでしぼ形状自体を変更できるが,一つの製品の中では一定パターンが繰り返され,形状の異なる自然なしぼを天然皮革のように不連続に配することはできなかった.過去から,この問題を改善し天然皮革と同様の自然なしぼ感を表現する目的で,しぼ付けのための液流染色機や乾熱揉み機を使用した揉み加工など,外観付与に関するさまざまな後加工についての研究が行われてきた.また同時に,使用する樹脂の設計開発も行われてきたが,現在,価格と品質面において量産化されているものはない.
 昨年度までの研究では,耐久性に優れた表皮層用PU樹脂に使用するポリオールとして,従来型の1,6ヘキサンジオール(1,6HD)を使用したポリカーボネートジオール(PCD)に加えて,新規な植物由来原料としてデンプンや糖などの植物原料から誘導されるイソソルバイド(ISB)を基本骨格に取り込んだPCDを使用してPU化反応した.これとPU系接着剤を使用して合成皮革とした後にアクセレロータ形摩耗試験機で揉み加工試験を行い,生成したしぼの形状について,その谷の線をフラクタル解析することで数値化し報告した.
 今年度は,これら表皮層用PU配合の最適化と,PU系接着剤に架橋剤を変量して加えたものを試作して,一度しぼ付け加工を施した揉みしぼが経時で消えることなく安定にしたものとする工業的製法について検討し提案する.